ニコニコペースの効用
Fast Sports から Slow Sports へ
ニコニコペースの効用
福岡大学スポーツ医学部 運動生理学研究室
田中宏暁 教授
はじめに
われわれは1970年代に50%VO2maxに相当する軽運動が
有酸素能力の向上に有効であることを報告して以来、
今日に至るまでこのような軽運動トレーニング
(1980年代からは乳酸閾値を用いている)が健康・体力増進、
さらには生活の質の向上に有効であることを明らかにしてきた。
1970年代はようやく70%VO2max程度の最大下運動でも有酸素能力が
向上するとの論文がでてきたころで、さらに低く乳酸もたまらない
50%VO2max強度でトレーニング効果が上がるとの結果は容易に
受け入れられなかったようである。
このような研究に着手した理由は、軽運動であれば安全性が高く、
だれでも容易に取り組みやすいことと、長時間持続することで
短時間運動とは異なる代謝適応があってもおかしくないのではないかと
思ったからである。また1960年代後半にドイツの医師であり、長距離コーチ
であったVan Aaken が Hollman たちの基礎研究を根拠に乳酸を溜めずに
持続的トレーニングがよいとし、130拍/分の心拍数でトレーニングすることを
奨励していたことを知ったことからそのヒントを得た。若者で心拍数が130拍/分
に相当する強度は50%VO2maxである。これは生理的にきわめて
興味深い。まず乳酸閾値に相当するのでプロトンの蓄積が始まる
強度である。また一回拍出量がこの近辺で最大になるし、分時脂質代謝量が
ピークに達するという非常に興味深い運動強度である。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/54/1/39/_pdf/-char/ja/
http://www.asahi-shoes.co.jp/kaiho_club/goods/foot_knowledge/nikoniko_pace.html
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疫学調査が行われている福岡県久山町は福岡市の東に隣接する人口約7000人の小さな町である。過去40年間に福岡市の人口は65万人から134万人に倍増したが、久山町は1000人ほど自然増加したのみである。人口の移動が少ないことが,長期にわたり疫学調査が続いた条件の一つとなっている。この間,この町の年齢構成および職業構成は全国の平均にあり,町住民は偏りの小さい平均的な日本人といえる。
われわれは,1961年に40歳以上の住民の90%を健診し,第一集団を設定した。その後,同じ方法で1974年に第二集団,1988年には第三集団を創設した。この3集団の成績を比較することにより,日本人の生活習慣病の時代的変化を検証することが可能である。今年,本プロジェクトを遂行するに当たり,健診を再度行い,第四集団を設定する予定である。
久山町研究の研究テーマは,三大死因である脳卒中・心疾患・悪性腫瘍、高齢化社会を迎えて最も大きな問題となっている老年期痴呆、その危険因子である高血圧・糖尿病・高脂血症、飲酒・喫煙・食事性因子の生活習慣など,生活習慣病の全般にわたる。

